『漂流ネットカフェ』
が、読み始めたらページをめくるのを止められずに結局最後まで一気読みしてしまいましたので、本記事にて見どころ・登場人物考察・若干のネタバレを含めて作品紹介をしていきたいと思います!
タイトルからは想像が付きませんが、犯罪、性、人間の本能・煩悩が入り乱れたパニック系マンガになっています。
ふつーの、本当にふつーの人生を生きてきた主人公「土岐耕一」。そんな彼も中学時代に校内一の転校生美女「遠野果穂」と親しくなりいわゆる一般的な男女が行き交う楽しい学園生活を送っていただ、
▼ふとした事件をきっかけに急激に意識することになる。
唐突の鼻ペロリ。
この事件をきっかけに思春期特有の猛烈な異性意識を持つようになるが、恥ずかしさの方が先に来てしまい、中学生活はそれ以降喋れなくなってしまう。
そうこうしている内に高校生になり暗黒時代を過ごし、何の気なしに社会人になり出逢った現在の妻と結婚、現在は出産を控えている。
一見幸せに見えるこの状況でもやはり男としてのサガが心の中に悶々と沸き起こっているのを自覚していた主人公。
とある日、妻と喧嘩し敢えて帰りを遅らせようとしてふと立ち寄ったネットカフェで事件が起こる。
中学の時に「鼻ペロリ」事件から満足に口を利くことができなかった本作ヒロイン「遠野果穂」がなんと唐突にそのネットカフェに現れる。
いわゆる図書館で繰り広げられるような青臭い会話を経て久しぶりの再開をすることになる主人公:土岐とヒロイン:遠野果穂。
そんな中、久しぶりの再開を楽しんでいる2人に事件が起こる。
突然に振り出した雨は一向に止む気配がなく、仕方なくそのネットカフェで待機し、気がつくと、
▼何故か広大な、見知らぬ湿地帯の中にぽつんと存在するネットカフェ。
ここで自分たちが完全に異世界にワープしてしまったことに気付く。
そしてそのワープした人間は主人公と再開した遠野果穂のみならずその時その店にいた店員・客も含めて居合わせた全ての人間が見知らぬ異世界に飛ばされていた…。
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一時的にパニックに陥るも、団結して周囲の捜索に出向く一行。
歩けど歩けど何も見つからない一行。
そうこうしている内に
▼異空間で「秩序」が存在しないことに気づき発狂するメンバー。
▼そして絡まってしまった糸がさらに絡まるように徐々に狂い出すメンバー。
▼そして、一時的に正義の側だと思っていた大男「寺沢」が
▼なんと狂気を更に濃い狂気で上塗りしていく展開に。
果たして、この一見外界から完全に隔離されたような空間から日常生活に戻ることはできるのか?
また中学の同級生である遠野果穂をこの極限状態における狂ったメンバーから守れるのか…!?
がこのマンガの出だしにおける大枠のあらすじになります!
どこにでも居るふつーの会社員。そして、妊娠中の妻がおり一定の生活・一定の幸福に満たされて入るものの、ここまでの人生、それほど恋愛的に充実していたわけではなく、今の妻がほぼ初体験の相手だった。
いわゆる、「満足したゴールイン」ができていなかった。
主人公:土岐耕一が中学の時に中の良かった女生徒。主人公は妻が妊娠した今でも中学当時を振り返り、もう少し上手く立ち回っていたら
「絶対にワンチャンあった」
と確信している。その対象となるヒロイン。
ただし、物語中では彼女のパーソナリティに触れられる部分がなく、中学卒業後は高校の名前など以外ほとんど明らかにされない。
物語が後半に向かうに向かって、なぜ彼女のパーソナリティが掘り下げられないのかが明らかになっていく。
いわゆるこの物語における悪役。
大柄で腕っぷしも強く、基本的な危害・怪我・争いは一部を除いてこの寺沢を中心に発生していき、意を決した主人公が致命的な一撃を与えても必ず何故か蘇ってくる。
▼現代社会ではうまく社会に溶け込めておらずこの一説から家も仕事も無い現代の社会問題となっている「ネット難民」であることが自白される。
そして、この境遇を理由に一般的な幸せを掴んでいる人間、寺沢から見たら身重の妻を持つ主人公でさえも疎ましい存在として写り、目の敵にされていく。
この漫画の芯の部分としては、
が展開されていますが、それと同時に、
が色濃く描かれています。
特に性欲部分については
もはやエロ
で
2chでよくあるツッコミの
「AV見すぎwww」
的な部分も多々織り交ぜられているので、そのあたりが苦手な人は注意が必要かもしれません。
また、今回は全編を通して
「蒸し暑い環境」
が全面的に描かれており、如何にこれが劣悪な環境かが伝わってくる描写になっています。
この「漂流ネットカフェ」における一番の議論点は、
「クライマックスが賛否両論」
なところ。
一言で言うと、
『夢オチ』
である点と、ヒロインである『遠野果穂』が
『主人公の作った偶像』
である、という点…。
なんだかんだ言いながら主人公は身重の妻のことを最も気にかけていますし、最終的には何事もなかった構成になっていますが、ヒロインに感情移入した人が全員
妄想だったんかい!!
と突っ込んだことを予想しております。
いかがでしたでしょうか?
前回記事と通じて押見修造さんの作品の中身を切り出してみました。
この後の作品「惡の華」とかなり構図が似ている、また登場人物、特に主人公と遠野果穂は、惡の華の主人公とヒロインの特性にそっくりですね。
とはいえ、一度読み始めてみると、押見修造さん特有の「えげつなくて止めれない」ような中毒性に仕上がっていますので、
などをキーワードとしてお好みの方にはオススメの内容になっておりますのでぜひ!
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